個人の意見です。
TLDR
聴者は日本手話を学ぶべきだし、ろう者は日本語対応手話を学ぶべきだと思う。
日本語対応手話のいいところ
- 事実として話者数が多い。
- 難聴者や聴者の多くは、対応手話が使いやすい・習得しやすい。
- 日本語に対応している
- 簡単に習得できる。
- ろう者が日本語を学ぶときにスキーマが一致している。
- 多くの手話通訳者が使う。
- デファクトスタンダード
日本手話のいいところ
- 手話にしかできない表現を使って、多様な情報を一度に伝達できる
- 対応手話で省かれがちの「てにをは」の情報を正確に伝えられるなど
キーボードの配列で言うと
- 日本語対応手話=QWERTY
- 日本手話=大西配列
という感じです。
キーボード配列と違うのは、キーボードは最終的には同じことが表現できるけど、
日本語対応手話の場合は情報が抜け落ちてしまうことが多々ある…というところです。
個人的には…
言語・文法体系として面白いのは日本手話だと思います。
「日本手話は、日本語対応手話より豊か」と言われていますが、そうだと思います。
日本手話には手話独特の美しさがあって、わたしの推しは日本手話です。
(わたしが大西配列を使っているように…!)
聴者の手話の習得、ろう者の日本語の習得の観点から言っても、
日本語対応手話が覇権を握るのは自然な流れ。(言語習得ゲームと手話)
一方で、日本語対応手話では抜け落ちてしまう情報が多いという話もあり、
今後はそこを補うような手話が生まれていくのかなと思っている。(クレオール化)
(そもそも現在の日本手話が、この補う手話なんじゃないの?)
耳が聞こえにくい先天的難聴は1/1200程度に対して、その中に含まれる先天的ろうは全体に対して1/6000くらいになっている。
だから聴覚障害者の4/5くらいは、補聴器をつけて、一応日本語をベースに生活していることになる。
そのことを踏まえると、日本手話は1/6000の人しか使わない言語とも言える。
何が必要なのか
日本語対応手話を勉強したあとで、日本手話を使うのは難しいのか?
→別にそんなこと無いと思う、暗黙的・明示的はともかくとして、言語として学べばできると思う…たぶん。
日本手話の学習コストを下げる必要がある
より多くの無料で高品質な教材が必要。めちゃめちゃ課題がある。
- 現状、日本手話の学習体系が確立されてなさすぎる。
- 英語に比べると本当に少ない。他の言語に比べても少ない。
- 第二言語習得における認知科学的アプローチを適応した教材が少ない。
- 辞書ではなく体系的な単語帳がない。
- 類似語、対義語がまとまっていない…
- 音韻の体系化、SignWritingシステムの体系化ができてない。
- 研究レベルでは行われていたりするけど、まだ言語習得に応用されるところまで入ってない。
- 一方、音声言語の発音記号などは、言語習得にかなり応用されている。
というか、「聴者の手話習得」に関する研究ってどのくらい行われているんだろう。
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手話を学び始めてから1ヶ月とちょっとが立ちまして…
わたしが手話を学び始めたときに、最初にでてきたのがこの、日本語対応手話と日本手話の話でした。自分が最初に感銘を受けたのは日本手話だったんですが、日本語対応手話というものの価値もめちゃめちゃあるなと思っています。
手話初心者のわたしなりに、この問題について整理してまとめてみました。
これから手話を学ぶ人の参考になればいいかなと思います。